NTTドコモ(東京都千代田区)は、世界を席巻している携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の機能を備えた新しい携帯電話の開発に向けて検討を始めた。
iPodの大ヒットにつながった音楽配信サービス「アイチューンズ・ミュージックストア(iTMS)」に対応する携帯端末の製品化で、米アップルコンピュータとすでに協議を始めたとの観測もある。
日本では、KDDI(東京都千代田区)のau携帯電話に直接楽曲を配信できる「着うたフル」サービスが人気で、携帯電話の音楽分野では、ドコモは後れをとっている。
「iPod携帯」の投入が実現すれば、これを一気に巻き返す可能性もあり、携帯電話市場に、新たな波が起きそうだ。
iPod携帯の端末の具体的な仕様は未定だが、パソコンに取り込んだ楽曲データを簡単に携帯端末に転送して聴くことができるようにし、デザインや操作性を工夫する見通し。
アップルブランドでなく、ドコモのブランドでの販売になりそうだという。
アップルは、アイチューンズの音楽管理ソフトを組み込んだ携帯電話「ROKR(ロッカー)」をモトローラと共同開発。米国の携帯事業者シンギュラーを通じて今年九月から販売している。八月には日本でもアイチューンズのサービスを開始しており、日本の携帯電話への展開に注目が集まっていた。
ドコモは、これまでに音楽分野に参入してはいた。昨年十二月に販売開始した、ソニーの音楽配信サービス「モーラ」に対応する音楽再生機能付きの携帯電話「ミュージックポーター」がそれだ。パソコンから簡単に楽曲を取り込んで楽しめる、初めての携帯電話端末だった。
しかし、時期を同じくしてauが「着うたフル」を開始。ダウンロード数は九月末で二千万を超え、「音楽といえばau」のイメージが定着し、ドコモの存在感は薄れていた。それだけに、iPod携帯に寄せるドコモの期待は大きいとみられる。
さらに、ドコモは年内にもテレビ電話もできる第三世代携帯電話(3G)「FOMA(フォーマ)」で、ミュージックポーターの新機種二種類を発売する予定。国内で最も容量の大きい、一ギガ(一ギガは十億)バイトのメモリーで約七百曲を記録できるタイプも投入し、音楽再生機能を強化するという。
また、来年夏に都市部で開始する最大毎秒約一四メガ(一メガは百万)ビットの3G高速データ通信サービスでは、大容量の楽曲データを直接、携帯端末へ配信するサービスも考えている。